音楽とは、単に1曲ずつダウンロードするだけのメディアではないと思っています。
古い考え方かもしれませんが、アルバムコンセプトというものは大切だと思うし、ジャケットデザインもひとつのアート。
まぁ、Macユーザーである私がよく利用するダウンロードツールのiTunesだと、例え1曲でも購入すると漏れなくカバーアートを取得できるので、やはり我々のような音楽ファンの気持ちも理解してくれているようですが…。
思春期を西洋音楽教育の中で過ごしてしまった身としては、どうしても洋風演歌にしか聞こえないJ-popはしっくり来ず、どこかにクラシックや賛美歌あるいは民族音楽の要素が入っていないと、どうも音楽性を感じない私。かと言って本当のクラシックマニアではないので、古典だけ聴いてればいいものでもない。
そこで形式にとらわれず、私なりにプログレッシヴなアルバムやナンバーばかりを集めて、勝手にレヴューを書いてしまえばいいのだと気付きました。
その分野ならば完全英国人集団、ブリティッシュ・プログレの独壇場。間にバッハの古典もガチでちりばめつつ、クラシックおタクおやじたちによるプログレッシヴ・ロックの世界へ、健全な趣味の方々をいざなう野望やいかに…?!
Trevor Horn / The Reflection Wave One
1. Sky Show/2. Battle Begins/3. Reflection/
4. Hear Them Come/5. In Chaos And Confusion/
6. From On High/7. My Daily Life/8. Reflected/
9. Peace In Blue/10. In A World Of Unreason/
11. I Am Alone With Sadness/
12. Loneliness And Solitude (Dialogue Version)/
13. Main Theme/14. Hear Them Come (Again)/
15. Left In A Bleak And Desolate Land/
16. The Transition/17. From Battle To Flight/
18. The Future Of Happiness/
19. Greater Expectations/20. Reflection (Reprise)/
21. SunSunSunrise (TV Edit)/
22. Sky Show ("Bel Air" Reflected & Extended Mix)/23. Futre Boyfriend/24. Sky Show (Unplugged)
実に3年ぶりのアルバムレビューになります。
あのトレヴァー・ホーンがアニメの音楽を手がけたということで、早速サントラ盤を購入。珍しく発売日前にCDを予約注文して、届くまでの間「待ち遠しいな〜」なんて思ったのは何年ぶりでしょうか。
(…と、サントラだけに曲数が多くてそれを書くだけで疲れてしまったので、今日のところはここまで。また後日アップしますので、もう少しお待ち下さい)
(2017/08/28)
ASIA (Featuring John Payne) /
Recollections: A Tribute To British Prog
1. Sirius/2. Eye In The Sky/3. It Can Happen/
4. Court Of The Crimson King/5. Highways of The Sun/
6. I Know You're Out There Somewhere/
7. Rock And Roll Star/8. Nothing To Lose/
9. Locomotive Breath/10. Lucky Man
「ウェットンの代役としてはイマイチ」という先入観を、初来日公演で見事に打ち砕いてくれたジョン・ペインのSexy Voiceにハマって、早20年余り。真剣に歌と音楽を愛している希有なミュージシャンとして、ジェフ・ダウンズとの決別を果たした後もず〜っと彼の活動を支持し、追い続けて来ました。
ようやくASIA:F.J.P.名義の新譜リリースかと思いきや、リスペクトするブリティッシュ・プログレの楽曲をカバーしたトリビュートアルバムでした。ちょっと残念。
でも一般に、楽器並みにヴォーカルの難易度も高いとされているプログレのナンバーを、こんなふうに親しみやすくアレンジしてくれる彼らは、何と貴重な存在か。
全編を通して流れる軽快さが、ある意味とっても”ASIA"っぽくて心地よい。オリジナルエイジアとは一線を画すしなやかさ…と感じるのも、私が世代的にはペインたちのほうに近いからかもしれません。「こーゆうトリビュートサウンドもアリか」っていう、ささやかな意外性。
個人的には90125イエスの”It Can Happen”にハマりました。オリジナルが元々しっかりした構成で、メロディも美しいからイイ曲に決まってるんですけどね。何と言っても、80年代Yes大ヒットの一翼を担いつつも、その後の明らかな「人材の使い捨て」によってバンドでのポジションを奪われて行くことになったトレバー・ラビンの境遇と重なり、ASIAで似たような仕打ちに遭ったペインの力強いコーラスが響いて更に感慨深い。まさに"It can happen to everyone ~誰にも起こりうる"事態だったのです。(コジつけ)
圧巻は”歌える”クリムゾンキングの宮殿ー”Court Of The Crimson King”。オリジナルでのグレッグ・レイクの格調高いヴォーカルとはまた違った、ワイルドでありながらもどこかしっとりしたJ.ペインの歌声に癒されるww。曲調も気のせいか昭和歌謡っぽく聴こえるフシもあって、本当に不思議な雰囲気です。懐かしいけど、なんだか妙に新鮮な感じもして…。
ん〜、”Nothing To Lose”に関しては、ちょっとオリジナルのインパクトが強すぎるせいか、さほど大胆なアレンジも加えてないから評価しづらいところでしょうねぇ。ここ数年、エディ・ジョブソンが足繁く来日しては30年越しのUKナンバーを披露してくれて、ファンの間ではちょっとしたフィーバーになっていただけに…。でも、嫌いじゃないですよ。まぁこの曲のクライマックスとも言うべき、オリジナル版でのエディのヴァイオリンソロパートは、「ギターでやると、こんな感じになっちゃうんだろうなぁ」という想像はつきましたけど…ね。
全体的にトリビュートアルバムにしては変に媚びたところがなくて、いいと思います。何だかんだ言って皆、それなりにちゃんとASIAサウンドになっているところに好感が持てました。それに、ペイン氏のヴォーカルが相変わらずナチュラルだし…♡
あくまで想像ですが、私とペインの世代が近いとすれば「ザ・プログレ」っていう大御所の曲を聴き込んでいる時期や回数も近いと思うので、アレンジの仕方に無理を感じさせずツボにハマったのでしょう。要するに通販でいう「*個人の感想です」ので、実際聴いて「バカヤロー、先人への冒トクだー!!」とか言うのはカンベンして下さい。
しかし、こうなるとやはりオリジナル曲でのニューアルバムが待ち遠しいですなぁ。首を長〜くして待ってますよ〜、ペイン様〜♡
(2014/05/08)
Gordon Giltrap & Oliver Wakeman/
Ravens & Lullabies
このアルバムがリリースされてから、相当の月日が経過。すっかりオリヴァー漬けになっている身にもかかわらず、レビューを怠っております。
以前、リック・パパとピアノ&ギターのコラボアルバムで競演したギルトラップさんがアコ・ギの大御所と聞いていたので、もっとインストがメインのアコースティックなアルバムに仕上がっているのかと思いきや、意外とロックしてます。超ステキです。ウェイクマン・スタイル炸裂で、マニアにもたまらない内容です。オリヴァーの感性の美しさにアテられて、本当に悶絶モノです。
悪名高い「人材使い捨て」バンド:Yesで、一緒にツアーメンバーをしていたヴォーカルのベノワ・デイヴィッドも1曲ゲストで歌ってます。ジョン・アンダーソンの声マネではない地声のほうが、ずっとイイ声だと思う。それを知ってるオリヴァーだからこその、この起用。ああ、この人は心も美しいのだわ。
今のところ中途半端なレビューで申し訳ないですが、また加筆修正させて頂くと思います。
(2014/05/10)
ジョン・アンダーソン抜きのイエス2009年のライブです。CD2枚とメイキングDVDが付いてる洋盤を購入。
セットリストは新旧イエスのナンバーをまんべんなくカヴァーしていることから、ライヴ版ベストアルバムと言っても過言ではない内容。これまでよく演奏されてきた黄金期の楽曲以外にも、初期のトニー・ケイ在籍時から80年代の大ヒット曲であるロンリーハートまで、イエスのたどって来た歴史を網羅するかの如きラインナップです。特に今まで演奏されることがなかった後期のDRAMAナンバーの完璧な再現は、特筆に値するもの。
メンバーは、1980年当時のいわゆる「DRAMAイエス」の立役者、クリス・スクワイア、スティーヴ・ハウ、アラン・ホワイトの3人が、器用にモノマネがこなせる助っ人ヴォーカルと偉大なキーボーディストの二世を引き連れて行なったワールドツアー…ともいうべきか。ベノワ・デイヴィッドのヴォーカルは確かにジョン・アンダーソンそっくりですが、ただやはり、かつての”DRAMA"でトレヴァー・ホーンが醸し出していた叙情性は感じられず…。
しかしそんな内容でもいいのです!! 私はウェイクマンの息子であるオリヴァーだけが、完全なるターゲットなのですから。特に今までYouTubeでしか拝めなかったオリヴァーのパフォーマンスを、付属のDVDで目にすることができ、それだけでも買った価値があるというもの。弟のアダムに関しては、パパ・ウェイクマンに同行している「ヘンリー8世〜」のハンプトンコート・ライヴで、一足先にお披露目済みなので、今回のお兄ちゃんの映像は、本当に涙モノ。自身の冠バンドではライヴDVDをリリースしていますが、やはりイエスナンバーをプレイする姿にエキサイト。
びっくりしたのは、しゃべり方とかも気持ち悪いくらいパパにそっくりなこと。ぶしょうッぽいヒゲのせいか、年齢を重ねて(多分アラフォー)ますますパパに似てきました。でも体型はまだまだスッキリしているので、若々しくさわやかです。またインタビュー映像では、イエスの歴代キーボーディストのプレイスタイルを実際に弾いて説明してくれたりなんかして、ファンにはホント、たまらん贅沢です♡
バンド全体の評価としては、大御所三人衆がメインですから安定感バツグンには違いないんですが、最高峰のテクニックで臨む「本人たち自身による完コピバンド」に思えるフシも。つまり単なる懐メロ演奏会であって、これといった目新しいアレンジや大胆な解釈は施さない。大御所バンドに進化は必要ないのか、常につきまとう「プログレッシヴ精神」とのジレンマ…。
だからこそ楽しみはオリヴァー君なんですが、彼だってヴォーカルのデイヴィッド同様、便利屋のコピー要員に過ぎず、その器用さを買われ悪く言えば利用されてるだけ。彼の個性を引き出してバンドに新しい風を入れようとか、そういう雰囲気はさらさらない。悲しいのは、オリヴァー自身がそれをよく悟っていて、非情に割り切った完コピプレイに徹しているところが、何とも涙ぐましい。そういう点では彼がいちばん大人なんじゃない? 生まれながらに巨匠ウェイクマンの息子である彼がイエスのメンバーになったところで、そのキャリアのプラスにもマイナスにもならない。新しいことは自分のバンドとかソロでやればいいので、わがまま爺さんたちとそのファンが完コピを望むなら、自分の仕事としてそれを淡々とこなして行く。なんて、痛々しいくらい健気…。
ジョン・アンダーソンが、このツアーに関してオリヴァーをあまり評価していないという噂がありましたが、恐らく例の大御所三人衆が、オリヴァーの個性を引き出していないと感じていたからではないでしょうか。それは、若い才能に光を当てる”アンダーソンイズム”とは対極を成している。というのは、あくまで私の推測ですが…。
でも当のアンダーソンはその間、他のイエスメンバーをよそに、しっかりパパ・ウェイクマンとコラボしてたりするんですよ。もう、どうなっちゃっているんだか…。
まぁ難しく考えず、ウェイクマンびいきの私のコメントは無視して、とりあえず聴いてみて下さい。正真正銘、恐ろしくパーフェクトな演奏であることには違いありませんから。
(2011/12/01)
Rick Wakeman/Always With You
Studio Album, released in 2010
1. Ave Maria/2. Glory/3. The Piano Messiah/4. The Granary Canon/5. Beautiful Saviour/6. Jesu, Joy Of Man's Desiring/7. My Redeemer/8. Moods Of Morning/9. Always With You/10. Kum-Ba-Ya/11. Gone
But Not Forgotten/12. Stairway To Heaven
このオッサンの指先から、何故こんなに美しい音が奏でられるのか…。
往年のイエス時代から、ハモンドオルガンやらメロトロンやら、果てはアナログ&デジタルの様々なシンセサイザーを駆使してきたリック・ウェイクマン=パパ。
キーボードの基本はピアノではあるものの、とにかく美しすぎるピアノの音色に脱帽。
収録曲のバリエーションがまた、何とも言えず私のツボなんですね。
ほとんどがクラシックでも特になじみ深い名曲をカバーしているのですが、本当にやわらか〜いアレンジで癒されちゃう…。
1がシューベルト、2と3と7がヘンデル。4がパッヘルベルで6がバッハ。
5と10がそれぞれ中央ヨーロッパとアフリカの民謡から。8はグリーグで、12がレッド・ツェッペリン(!!)。
実にオリジナルは2曲だけで、11の[Gone But Not Forgotten]はこれまでに何度もピアノアレンジされている曲ですが、表題曲である9の[Always With You]は初めて聴きました。これがまた非常に美しい曲で、この方の旺盛な創作意欲には本当に驚かされます。
ウェイクマンと言えば多作家として有名ですが、私はストローブスやイエス以外のコラボやソロを含めても、彼のアルバムをかなりの数持っています。
いわゆるニューエイジ系と言われるピアノ・アルバムの数もハンパなくて、よく「どれを聴いても同じ」と思う人が多いのですが、いやいや決してそんなことはないんですよ。信じられないかもしれませんが、皆それなりに良いのです。
そのDNAを引き継いで、彼の息子達もニューエイジ系は得意なのですけれど、だとしてもパパのピアノは圧巻ですね。とにかく、音がめちゃめちゃロマンチック。
タッチの柔らかさたるや、むしろ年を重ねるごとに磨きがかかってくる感じ。
とにかくどれでもいいので、彼のピアノ・アルバムをいっぺん聴いてみて下さい。
ほとんどが輸入盤なので、値段もお手頃です。MP3のダウンロードでもいいかも。
(2011/07/25)
Rick Wakeman/Night Airs
Studio Album, released in 1990
「どれでもいいから…」なんて言い方はさすがに無責任なので、ウェイクマン=パパのピアノアルバムでイチ押しを御紹介しましょう。
"Country Airs"、"Sea Airs"と共に、いわゆる「エアーズ三部作」と呼ばれるシリーズの最終作です。
このアルバムだけは、珍しく後発で2002年に邦盤化
されているほど、珠玉の作品と言えます。
よくショパンのノクターン風と評されますが、私には
むしろシューマンっぽく聞こえます。
いずれにしても、19世紀のロマン派的な音が好きな方には特にオススメ。
秋の夜長に聴いたりしてると、冷たい夜の空気を感じて本当に癒されますよ。
(2011/07/25)
"FLY FROM HERE" リリース!
イエスを愛する大多数の方は、ジョン・アンダーソンのファンだと思いますが、イエスの長い歴史の中でもアンダーソン以外のヴォーカルでリリースされたアルバムは、過去にただ1枚。
この度、その時のメンバーが集結して再びイエス名義でアルバムを出しました。但し当時のヴォーカルだったトレヴァー・ホーンは、残念ながらプロデューサーとしての参加。キーボード担当のジェフ・ダウンズと共に、伝説のテクノバンド:バグルズの原曲をイエスの看板でリメイクするという野望に挑みます。
個人的には2008年以来ツアーでキーボードを担当していたオリヴァー君(あのリック・ウェイクマンの長男)に期待していましたが、さすがにバグルズの持ち歌アレンジとあってはダウンズの参加が必然といったところでしょうか。
ヴォーカルには、2008年ツアーから参加していたトリビュート組のベノワ・デヴィッドなる新人を起用。ライヴ映像だと、やはりクラシックナンバーにおいては「まがいもの」感は抜けないものの、バグルズナンバーではどうでしょうか。発売前にiTunesストアで試聴しました限りでは、なかなかオシャレな仕上がりに聞こえたのですが…。
とりあえず、レビューです。
予約注文しておいたので、発売日の6/22には到着しました。
早速、聴いてみての感想なのですが、可でもなく不可でもなく…といったところですかね。
まず表題曲の[Fly From Here]ですが、何も新しいことをしていない。あれだけのメンツを揃えて、わざわざ後輩バンドのカヴァー曲を作る必要があったのか…?! しかも、オリジナルを超えているとは到底思えないし、かつての[I AM A CAMERA]→[INTO THE LENS]ほど大胆な加工もしていない。私にはトリビュートでもリメイクでもなく、もはや単なるカヴァーレコーディングにしか聞こえなかった…って、評価低すぎ?
正直、バグルスの2nd、"Adventures In Modern Recording"のボーナストラック付き再発アルバムを聴いたほどの衝撃的感動は得られませんでした。今聴いても、トレヴァー・ホーンのヴォーカルは珠玉の叙情性だったし、数名に及ぶ「ジョン・アンダーソンもどき」の中では、ピカイチだと思っています。今回もバッキングヴォーカルやるくらいなら、メインで歌っても良かったのでは?というのは、私だけでなく大方の評価のようです。
ところで余談ですが、今回申し訳程度にクレジットされているオリヴァー・ウェイクマン君。YouTube等で、彼のイエスとしてのパフォーマンスが見られます。イエスのあらゆる難解パートを表情ひとつ変えずに弾きこなす姿が、超クールでカッコイイ!!
彼を含めウェイクマン・ファミリーについては、いずれ別枠でゆっくりと語りたいと思います。
(2011/07/04)
Oliver Wakeman/Heaven's Isle
Original album released April 1997
1. Puffin's Waltz/2. Flight Of The Seabirds/3. Seal's Navy/4. Alone At Last/5. Diving/6. Heaven's Isle/7. Elizabethen Pirates/8. Dolphin's Dream/9. Montagu's Wreck/10. Atlantic Airs/11. Memories/12. Outward Journey (1999)/13. If A Picture (1999)
私がこのアルバムを買ったのは、もちろん「偉大なリック・ウェイクマンの長男が一体どんな音を出しているのか」といった完全なる興味本位でした。
すでに弟アダムのほうは、’90年代初めにはパパ・ウェイクマンと共同でアルバムを作っていたし、’93年’94年にはソロアルバムも出していて、活動自体は兄を先行していた感がありましたが、ソロに関して言えばロックンロール風シンガーソングライティングといった、やや凡庸なイメージでした。
対する兄オリヴァーは、最初からピン:あるいは自分の冠バンドとしての活動がメインで、意外にも父の楽曲をプレイする機会は近年のイエス参加以前は、ほぼなかったようです。
興味深いのは、直接パパと絡んでいないにもかかわらず、その存在はまさにウェイクマン2世だということ。なぜなら、父のかつての盟友、イエスのスティーヴ・ハウとアルバムを作ってみたり、パパがイエス以前(ちょうどオリヴァーが生まれた頃?)に在籍していたストローブス(現在も継続中という息の長いバンド)に、2009年から参加してみたり。
そんなオリヴァーが、親バカ100%の父に溺愛されているアダムに比べると何となくクールに見えて、胸キュンなんですよ。
で、作品もパパ・ウェイクマンのようなカリスマ性や派手さはないのですが、地味にジワジワ来る…。もちろんパパの遺伝子を受け継いでいるので、テクニックは申し分なく安定感は抜群。タッチや旋律の展開も、ばっちりウェイクマン・スタイルです。何よりパパの繊細な感性を引き継いでいるのが、兄オリヴァーの特徴。
リック・ウェイクマンの音楽は、ともするとダイナミックさや華やかさのほうが目立ちがちなのですが、実際は多くのピアノ・アルバムにも見られるような、呆れるほどのロマンチックさもまた持ち味。次男アダムとは、しばしば「ヘンリー8世〜」のようなド派手なステージで競演していますが、実際ガラス玉のように美しく切ない音色を受け継いでいるのは、長男オリヴァーのほうだと私は評価しております。
この"Heaven's Isle"はまさに、そうしたオリヴァーの魅力を感じることのできる秀作です。くくりとしてはニューエイジなのでしょうが、もっと熱くポジティヴに癒されます。特にお気に入りなのは6.の表題曲Heaven's Isleと、9.の Montagu's Wreckかな。曲の展開や流れがドラマチックで、やはりニューエイジと言うよりプチ・プログレ(?)です。
まぁウェイクマン・ファミリーは皆さすがにピアノがウマイので、弟アダムにしたって、パパとのコラボ・アルバム等でも結構ハイレベルなピアノソロを披露しています。アダムちゃんの魅力については、また改めて別に枠を設けて御紹介することにしましょう。
(コメント作成日:2012/03/02)
Yes/DRAMA
イエスファンの方なら、バンド史上最大の事件として周知の問題作であり、そして唯一無二のアルバム。
上記の"FLY FROM HERE"を語るには、言わずと知れた"必聴"アルバムであります。
アンダーソンのファンには大変不評だったことは事実なのですが、総合的なプログレ・マニアからは、むしろ時を経て評価は高まっていると言えます。
内容については、私などよりも以前から多くの方々がレビューされていますので、詳しいことは割愛します。とにかく聴いていただくのがベストかと…。
当時の、実にシンプルなビデオクリップも残されていますので、若々しい彼らの姿を見ることも可能です。(実は私がこのジャンルにのめり込むキッカケは、何と邪道プログレのASIAだったものですから、イエス/バグルズは音も去ることながらジェフ・ダウンズのビジュアルからも入ったという、これまた邪道!!…後にウェイクマン様やキング・クリムゾン等といった、正統派プログレファンに更生しますが…)
つまり私個人にとってこの"DRAMA"は、プログレの最初の扉を開いた思い出深いアルバムといえるのです。
(オリジナルリリース/アナログ:1980/08/18*USA)
Buggles/Adventures In Modern Recording:
-Extra Tracks, Original Recording Remastered-
イエスの"FLY FROM HERE"で、再三に渡って採り上げたのが、このバグルズの2ndアルバムです。
バグルズといえば「ラジオ・スターの悲劇」が収録されている1stアルバムのほうが有名なのですが、御存知のようにメンバーが2人ともDrama-YESと合体してしまったもので、その後にこっそり作られたこの2ndは、邦盤(もちアナログ時代)リリースされませんでした。
幻の名盤と語り継がれて久しく、ようやく10年以上の時を経てCD化されるに至ったのですが、当初はオリジナルの9曲収録にてリリース。その数年後にはボーナストラック3曲を付けての再リリース。更に近年になってまた7曲プラスしてのダメ押し再々リリースと、実に計3枚も買わされちゃうといったマニア殺しの逸品なのです。最終的にはトータル11曲/73:40という、ジャストCDタイムに収まったわけです。
しかし紆余曲折はあれ、どの曲をとっても心地よいサウンドが広がります。後に名プロデューサーとして大成するトレヴァー・ホーンの才能の原点を垣間見ることができる貴重な名盤です。間違いなくオススメ。イエスの最新リリースアルバムの表題曲”We Can Fly From Here”も、こちらがオリジナルです。当時がデモテープ並みのレコーディング環境であったとしても、決して輝きを奪うものではないと感じます。相変わらずジェフのピアノが下手なのが玉にキズなんですが…。
最近になって、また新たにこのリマスターCDが邦盤化されたようですが…もう、許して。
(リマスターCD購入日:2010/03/26)
Rick Wakeman/
The Six Wives of Henry VIII:
-Live at Hampton Court Palace-
「正直ヘンリー8世はもう聴き飽きた」と思う方も、この一大行事は押さえておくべき。これまでライヴなどでも「アラゴンのキャサリン」や「キャサリン・ハワード」を中心に何度もセルフカバーしてきた楽曲ですが、6曲全部まとめてのリニューアルアレンジは、恐らく初めて。おまけに英国史を代表する国王の記念式典とあって、今回の公演用に書き下ろしたオリジナル曲も披露する等、"超"豪華絢爛ド派手演出。
心臓病でドクター・ストップがかかり、そのためにイエスのツアーは長男のオリヴァーを代役に…という話でしたが、その裏でこんな大仰なパフォーマンスが行われていたとは…。まぁ、飛行機に乗らなきゃいいってわけですかね、国内だから。 こっちのツアーには、次男アダムを引き連れての贅沢興行。
余談ですが、このライヴのリハーサルや舞台周辺の様子を収めた映像が、YouTubeに投稿されています。これを見ると、ライヴ前の出演者やスタッフの雰囲気をうかがい知ることができるのですが、ちゃ〜んとファミリー全員が招待されているようで、オリヴァー君の姿も観客席や舞台袖でチラホラ見かけます。パパがリハーサル前、何やら携帯電話で機材の具合を(スタッフと?)打合せしながら「この辺がちょっと…」みたいなアクションしてる時も、「どれどれ…ああ、ここんとこね」みたいな様子で一緒にチェックしてるオリヴァー君は、もはや「世継ぎ」の風格でした。ウェイクマン家は安泰ね。
ちなみに…ちゃんとライヴ本編のDVD&ブルーレイもCDとほぼ同時期に発売されていますが、もちろん購入しました。こちらでは、アダム君と繰り広げられている親子パフォーマンスが見所です。
(コメント作成日:2009/12/21)